私はあなたの止まり木でありたい。
どんなに強い鳥でも、羽ばたき続ければ疲れてしまうから。
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「馬鹿か、お前らは。」
呆れたような声。
背後で重い音を立てて校門が閉められる。
「ま、間に合った…?」
おそるおそる踏青の背中から顔をあげた五海は、
目の前で腕組みをして立っている男子生徒の姿に曖昧に笑うしかなかった。
「えーっと…その…」
眉間の皺をさらに深く刻み込んだ校風部長の胸に輝く校章がなんだか眩しい。
「俺の立ち番の日に遅刻、しかも堂々と自転車二人乗りとは良い度胸だな、お前ら。…そもそも自転車二人乗りは法律で…(中略)…わかったか、わかったらお前らはもっと…」
自転車を置いてきたらしい踏青が、頭をかきながら弁明しようと口を開くも、陽功の説教は止まらない。
(それはもう17歳の高校生ではなく口うるさい小姑だ)
「あー…こいつ止まらねぇな…」
「なんとかしてよ、踏青。生徒会長の特権じゃなかったの?」
「聞いてるのかお前ら!!」
「「…すみません。」」
空を仰いで息を吐き、
「規則を破るならバレないようにしろ、阿呆が。」
そう陽功が言い捨てた瞬間。
無情に響く授業開始のチャイム。
「やっべぇ、五海!走れ!」
踏青に手を引かれ、半ば引きずられるように走り出す。
「お前ら、俺まで巻き込むつもりか!」
「仕方ねーだろ、そもそもてめぇがウダウダ説教しやがるからだろうが!」
昇降口で上履きを掴んで、舌戦を繰り広げながら土足のまま階段を駆け上がる。
陽功が嫌な顔をしたが
(コイツほど学校を愛してるやつを私は他に知らない)
舌打ち一つで何も言わなかった。
「せんせー!授業はじめるのあと10秒待って!」
3組の前で踏青と別れて(そういえば彼は3組だった)
ガラリと教室の扉を開く。
「おはよ、五海。」
一番前の席から後ろを振り返った少女は、悪戯っぽく笑ってみせた。
「そんなに急がなくても、一時間目自習なのに。」
「…はぁ!?」
ショックで言葉を無くしていれば、後ろから、息を乱したままの陽功に小突かれる。
「…それならそうと早く言え。」
「忘れてたんだもん、仕方ないでしょ。」
「級長だろうが。」
「まぁまぁ、二人とも落ち着いて。」
睨み合う二人を宥めるのはいつも彼女の役目。
…忙しい日常が戻ってきた。
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HN:
咲遊
性別:
女性
職業:
学生
自己紹介:
いますぐ引き返したほうがきっとあなたのため。
私の夢の世界
歪んでたり 痛かったり。
気分を害されても
責任は負えませんのであしからず。
ちなみに、
このブログ内の文章の
無断二次転載は禁止
です。(ないと思うけど)
それではどうぞ ごゆっくり。
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