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私はあなたの止まり木でありたい。  どんなに強い鳥でも、羽ばたき続ければ疲れてしまうから。
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「先輩っ!」


呼び止められて振り向けば

息を切らして走ってくる、彼女。



「あぁ、おはよ。」

立ち止まって、
膝に手を置いて荒く息をつく彼女に笑いかけた。


「どうしたの、そんなに急いで。」


まさか遅刻ってわけじゃないよね、と腕時計を覗き込む。

銀色の針が朝日の中で指しているのは、

午前7時22分。



「えっと…あの…。」

「なに?」

「先輩…クリスマスって空いてますか?」


期待と不安、

緊張に声を震わせながらも


それでもこちらをまっすぐ見上げてくる。



「実はその日、私のバレエスタジオでクリスマスパーティーがあるんです。」


押し黙ってしまった透夜の表情を伺いながら続ける。


「だから、よければ先輩に、来ていただきたいな…なんて…。」




12月25日。

救い主はその日にやってきた。




「…ごめん。」



世の人々はその日を

喜ばしいと言うけれど。




「その日は毎年、教会だから。」




ごめんね、と繰り返せば、

気にしないでください、と笑った彼女がなんだか健気で。


「期末考査が終わったら、二人で遊びにいこうか。」




自分からは滅多に言い出さない

デートの約束が口をついて零れた。


「それって…」



かぁっと頬に赤みがさしていく彼女に

なんとなく自分も気恥ずかしくなって。




それを悟られないように、無言で彼女の腕を引く。


「女の子は、こっち。」



車道側に立って歩きながら、


今日の朝練を諦めようと決めた。





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プロフィール
HN:
咲遊
性別:
女性
職業:
学生
自己紹介:

いますぐ引き返したほうがきっとあなたのため。


私の夢の世界


歪んでたり 痛かったり。



気分を害されても
責任は負えませんのであしからず。




ちなみに、
このブログ内の文章の

無断二次転載は禁止

です。(ないと思うけど)





それではどうぞ ごゆっくり。





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