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私はあなたの止まり木でありたい。  どんなに強い鳥でも、羽ばたき続ければ疲れてしまうから。
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「みーずーかーっ」
「イヤ。絶対イヤ。」


スキップをして、猫撫で声で水香の名前を呼んだ瞬間拒絶された。


…結構傷付くんだけどな、それ。


「まだ僕何も言ってないけど…」

「期末前になって君が私を猫撫で声で呼ぶ意味くらいわかりますから。」



よく僕のことをお分かりで。



「だったら話は早いよね。ほら、プリーズプリーズ!」

「嫌。ムリ。断固拒否。」

「シャイだなぁー水香は。」

「あの、シャイの意味わかってます?」

「もちろん!」



それはもう飛び切りの笑顔で。



だってそれは中間考査の時に
君に教えてもらったからさ。


「内気な、恥ずかしがり屋さん。」



あ、こっち向いた。

すっごく嫌そうな顔。



「私は君に"shy"したい。」

「ん?」

「"shy"って動詞にもなって、"石などを投げ付ける"って意味もあるんですよ藤也さん。」



さり気なく右手に持ったペン先が

僕の方を向いてるのは気のせいかな。



「ノートくらい、君ならいくらでも貸してもらえるでしょっ。ファンの女の子たちから!」


…あ、もしかして嫉いてる?


「僕は水香のノートがいいなぁ。」


眉根を寄せて、少し俯く。

ここで水香がため息をついたら僕の勝ち。


「…っもう。」


目の前に差し出される英語のノート。

「ありがとう水香っ!」

今回も僕の勝ちだね!


にっこり笑って伸ばした手は、ピシャリとそのノートで叩かれた。


「ったぁ!」

「そうやすやすと毎回毎回、私が君の計略にハマると思うのは大間違い。」



やっぱり水香、



「私の勝ち。」



君って楽しい。



「あはは、負けちゃった。」



また次までにとびっきりの秘策を考えておくよ。




「じゃあ、今日…教会でテスト勉強して帰ろうか。
英語教えてあげるから。」

「うん、じゃあ僕は数学教えてあげる。」





並んで放課後の教室を出て

どこからともなく聞こえてくる
コーラス部の歌声を聞きながら階段を下りる。



「部活は?」
「ん?あぁ、今日はフリーだよ。」



部長がそんなのでいいの、と言われた。

部長じゃなくて主将だよ、と訂正して。



「春の大会はまだ先だし、」


それに―




君と過ごす時間の方が

僕にとって楽しいからさ。




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プロフィール
HN:
咲遊
性別:
女性
職業:
学生
自己紹介:

いますぐ引き返したほうがきっとあなたのため。


私の夢の世界


歪んでたり 痛かったり。



気分を害されても
責任は負えませんのであしからず。




ちなみに、
このブログ内の文章の

無断二次転載は禁止

です。(ないと思うけど)





それではどうぞ ごゆっくり。





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