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私はあなたの止まり木でありたい。  どんなに強い鳥でも、羽ばたき続ければ疲れてしまうから。
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試験終了を告げる鐘が鳴った。


答案が回収される前に
前の席に座っている彼の答案を覗き込む。

本来、英語で埋められるはずの紙には空欄が目立つ。



「ちょっと。」

「大丈夫だって、水香に教えてもらった問題は全部解けたから。」

「そういう問題じゃない!」


大きくため息をついて机の上に突っ伏せば

ポンポン、とあやすように頭に手が置かれた。



「そうだ水香、ごめん。今日この後、ちょっと用事があってさ。一緒に帰れないや。」

「久し振りに静かに帰宅できそうで幸せですよ私は。」



なれなれしい頭上の手の温もりを払いのけて、
筆箱を通学カバンに仕舞い込む。



今日は期末最終日。

窓の外に広がる空が底抜けに青い。


「じゃあね、藤也。」







予想外に暖かい日中の陽気に

朝巻いてきたマフラーを手に持って教室を出た先で


「あ、お疲れ様です先輩。」


懐かしい後輩の声を聞いた。

「杏奈ちゃん?」


少しの間、彼女が此処にいる理由を考えて


「藤也を待ってるの?」


小さく頷いた彼女の腕を無言で引いた。

きっと彼が言っていた"用事"はこの事なんだろう。


「だったらこっち。」


今日、明姫が彼を呼び出していたのは知っていたから。




「あいつとデートするときはさ、」




せめてその瞬間を見せたくないと思った。




「近くに公園あるでしょ?」



知ってたんだ。




「あそこで待ってたら迎えにきてくれるの。」




あなたがずっと
彼のことを好きだったのは。



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プロフィール
HN:
咲遊
性別:
女性
職業:
学生
自己紹介:

いますぐ引き返したほうがきっとあなたのため。


私の夢の世界


歪んでたり 痛かったり。



気分を害されても
責任は負えませんのであしからず。




ちなみに、
このブログ内の文章の

無断二次転載は禁止

です。(ないと思うけど)





それではどうぞ ごゆっくり。





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