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私はあなたの止まり木でありたい。  どんなに強い鳥でも、羽ばたき続ければ疲れてしまうから。
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体育館に駆けて行く
男子バレー部の一団が
楽しげに笑いながら私を追い越していく。


放課後の校庭を歩きながらふと空を見上げれば、

秋から校舎の壁にかけられたままの

「祝 弓道部全国大会出場」

と書かれた垂れ幕が目に付く。




そもそも弓道で有名な学校でもない。

地区大会を経て全国大会に行っただけでも学校にしては喜ばしいのだろうけど、


藤也が、いつまでも外されないそれを
疎ましげに睨んでいたのは知っていた。


「優勝できなかったことへの嫌味みたいだよね。」


そう言って笑いながら。





弓道部の練習場の側を通りかかり

フェンス越しに

矢が吸い込まれるように的の中心に付き立つのを眺めていた。



藤也の弓はすぐにわかる。

構えの位置が基本より低いのか

綺麗な放物線ではない
真直ぐな軌跡を描いて的に向かうから。



「あれ?水香さん!」

不意に大きな声がフェンスの向こうから響き、

それに気が乱れたのか

彼の矢が勢いよく地面に突き刺さった。


「こら、部長が練習してる時は静かにしろっていっただろ!(あの人キレると怖いんだよ!)」

畳を走る音がして、
焦った副将の声が聞こえる。

「…日明、部長じゃなくて"主将"、ね。」

構えの姿勢を解いて
俯いたままの彼が低く訂正する。

「上がってきていいよ、水香。」


お赦しに頷いて、道場の畳を踏んだ。

やがてゆっくりと振り向いた彼は
不自然すぎる優しい笑顔を浮かべて。

「君さ、…水香のことは名字で呼ぼうか。」

「あ、えーっと!みんな誤解するなよー!
先輩への礼儀として、ってコトだからな!別に独占欲とかそんなんじゃ…あーっていうか何でもない!うん、なっ?そうだよな藤也!」

「うるさい、日明。」
「…すみませっ」


いつもどおりのやり取りがおかしくて

笑いながら声の主の肩に手を置いた。


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無題
・・・バレー
2008/12/22(Mon)20:39:38 編集
Re:無題
私はバスケ派です!(何
【2008/12/30 10:49】
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咲遊
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歪んでたり 痛かったり。



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