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私はあなたの止まり木でありたい。  どんなに強い鳥でも、羽ばたき続ければ疲れてしまうから。
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「で、結局何がしたかったんですか藤也さん。」

「うーん…ごめん、なんか自分が何したかよく覚えてないんだよね。」


まだ君は信じてるんだ。

僕が弓を持つと…って話。


「弓もつと人格変わるんだったっけ。」
「うん。」



あの後は散々

部員たちに冷やかされ
副将には風紀を乱すなと怒られ


そうこうしているうちに下校時刻が過ぎて
顧問に怒鳴られた。


「風紀を乱す、なんて心外だなぁ。」

弓道の構えを教えるときは

ああやって後ろから抱き締める感じになるのは仕方ないことではあるんだ。


なんて独り言のように呟いた僕にため息をついて。



「で、あの男の子は誰なの?まさか水香が年下趣味な訳でもな…「杏奈ちゃんの弟!」

「杏奈ちゃん?杏奈ちゃん…あぁ!うん、目とか確かに似てるかも。」


合点がいったと頷きながら
ちょっと意地悪を言ってみる。

「びっくりしたんだよ!ついに水香が年下に手を出「4歳も下に興味ないし、そもそも私はあんたと違って浮気したりしないの!」



呆れたと首を振って歩調を早めた君に、
小走りで追い付けば睨まれた。

―いつもの事だけど。


「付いて来ないでよ。」

「ごめん、僕の家もこっちの方向なんだ。」

「だったらもっとこう…離れて歩けばいいじゃん。」

「水香の隣しか居場所がないんだよ僕は。」


君は一つため息をついて。

―ほら、口では僕にかなわないでしょ?




「勝手にすればっ。」

「水香ー、そんなこと言ってると勝手に水香の部屋まで押しかけるよ?」

「だったら杏奈ちゃんにバラしてあげよっか、藤也が部屋のどこにエロ本隠してるか。」

「脅しになってないよ水香。」



押しボタン信号に引っ掛かり、
足を止めた君の横に並んでニヤリと笑った。



「だって今、カバンの中に入ってるからさw」

「触らないで!一生話しかけるな変態!」



やがて信号が青に変わり、
走り出した君の背に

「そんなに走ると転ぶよ!」
と叫べば

「大きなお世話!」

と怒鳴り返された。






―脅しになってないんだよ 水香。




だって君以外

僕の部屋に上げた事なんかないんだ。


僕を下の名前で呼ばせたりしないし

道場に上げたこともない

弓を触らせるなんてもっての他で


数学だって教えない。








特別なんだよ、君は。

何もかも。








「ねぇ。」

教会のある曲がり角。

そこで彼女に追い付いて。

「もし、矢が外れて藤也が勝ってたら」



" 私 に 何 を 要 求 し た ?"



「水香の一日をもらおうかなって。」








26日。

君の26日が欲しかったんだ。





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HN:
咲遊
性別:
女性
職業:
学生
自己紹介:

いますぐ引き返したほうがきっとあなたのため。


私の夢の世界


歪んでたり 痛かったり。



気分を害されても
責任は負えませんのであしからず。




ちなみに、
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無断二次転載は禁止

です。(ないと思うけど)





それではどうぞ ごゆっくり。





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