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私はあなたの止まり木でありたい。  どんなに強い鳥でも、羽ばたき続ければ疲れてしまうから。
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「送るよ、やっぱり。」



すりガラスに写り込む
ぼんやりした街灯の白い光。


「大丈夫、平気だから。」

「ダメだよ。」



スニーカーを靴箱から取り出して、

ジャンパーを羽織った彼は送るといって譲らない。



結局、強引に押し切られて

二人並んで彼の家を出た。



「大丈夫?水香、寒くない?」

もう12月も中旬。

冷たい風に昼間の陽気の面影はない。


ジャンパーを無造作に羽織っただけで、
そう言う彼の方が明らかに寒そうだと思った。


「もういいよ、ここまでで。」


教会のある曲がり角に来て、
家の灯が目に止まる。


「そう?」


彼が足を止めた。

「うん。…ありがと。」



彼の微笑みはいつも通りに優しいけど。



「寒い、よね?」



首元に手をやれば、

そこに巻いてあった
オフホワイトのマフラーは意外と簡単に外れた。




「…風邪ひいたら大変だから。」




有無を言わさずに彼の首にそれを巻けば

彼は嬉しそうに
にっこりと笑って




「…ありがとう、水香。」




彼には冬が似合う。




「じゃあね、藤也。」




寒く冷たいその季節に

その微笑みが暖かいから。





手を振る彼に小さく笑って


ふと思った。










―いつまで彼のその微笑みは


私のものなんだろう。



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プロフィール
HN:
咲遊
性別:
女性
職業:
学生
自己紹介:

いますぐ引き返したほうがきっとあなたのため。


私の夢の世界


歪んでたり 痛かったり。



気分を害されても
責任は負えませんのであしからず。




ちなみに、
このブログ内の文章の

無断二次転載は禁止

です。(ないと思うけど)





それではどうぞ ごゆっくり。





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