∬月夜の契りに断罪を∬

全てを貪り尽くしたあとの

朝がこんなにも虚しいと


わたしに教えたのはあなたです。

くぷり、と音を立てて

溢れ出す赤い鮮血。

それは指先を伝って シーツを赤く染め上げる。



キラリと光る抜き身の刃に笑いかけるあなたを睨み付けて、
痛々しい傷口に舌を這わせるのにももう飽きた。


ねぇ、
一体あなたはどこを見ているの。

何が悲しくて
何が欲しくて

そうして自分を痛め付けるの。


透き通るように白いあなたの
腕をとって
わたしの胸元に導いて、

冷たく光る切っ先が
わたしの躯にあなたの証を刻んだら、



それは長く歪んだ夜の始まり。




壊れたあなたへ、
この身を嫉き尽くす捧げものにして


狂ったあなたに、
この心ごと縛られたいのです。







乱れた息を整えながら
わたしの髪に指を絡ませ

熱に浮かされたようにあなたが呟く。





「このまま君を殺して、僕が君を食べたら、
僕たちは本当の意味で一つになれるかもしれないね。」





わたしがあなたに食べられて
あなたの血となり肉となれば


あなたの抱えるその悲しみに
触れることができるかな？




貫いてください、

月明りの下で
紅いあなたの涙に濡れる

そのあなたの優しさで。


「わたしを食べて。」


わたしはあなたの一部となって

あなたはわたしを手に入れられる



「そうしてあなたはわたしを愛すの。」



あなたが嫌いなあなた自身の
身体と共にわたしを愛して。







ついに満たされた愛の形は

これほどまでに美しいもの。





















あなたに足りなかったものは
わたしでした。