忍者ブログ
私はあなたの止まり木でありたい。  どんなに強い鳥でも、羽ばたき続ければ疲れてしまうから。
[169]  [168]  [167]  [166]  [165]  [164]  [163]  [162]  [161]  [160]  [159
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。








「水香。」

頬杖をついて、日記帳に日々を記録するのは
幼い頃からの彼の習慣。


「何?」


寝る前にストレッチを欠かさないのは
幼い頃からの私の習慣。


「明日、行きたいところがあるんだけどさ。」

「うん。」

「ついてきてくれるよね。」


最近ハマりだしたヨガのポーズを取るのに成功したのと同時に

彼の日記も完成したらしい。



「ちなみにそれ、何のポーズか聞いてもいいかな?」

「立木のポーズ。多分。」




彼はクスリと笑っただけで
それ以上突っ込む意思はないらしく黒い革表紙の日記帳を机の引き出しにしまい、
やがておもむろに立ち上がった。




「てかさ、何で今日は客間使えないんですか柾貴さん。」

「…あはは、ごめん。
母さんが布団をクリーニングに出しちゃったらしくてね。」




困ったように彼が曖昧に笑った。

そういう時は大体、嘘。



本当はどうせ藤也あたりが
余計なことを言ったんだろう。




「まぁいいでしょ、俺のベッド広いし。」

「そういう問題じゃないと思うんだけどなぁ…。」


そんなぼやきを言い終わる前に、
パチリと電気が消された。


「俺の朝は早いからね。」

「何時に起きる気?」

「4時かな。」

「はぁっ、4時!?」

「もちろん水香にもつきあってもらうから。」



ひんやりした空気と共に、

ベッドの片側のスプリングが軋んだ。



「おやすみ、」





彼の欠伸にかき消されて

その後に彼が何を言ったのかはわからない。








でも、聞こえた。












―おやすみ、紗香。










窓の外で街灯に反射する

白い雪が悲しかった。



PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:

カレンダー
08 2024/09 10
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30
フリーエリア
最新CM
[03/05 gregory]
[01/20 ぱど]
[01/19 あげたまご]
[01/18 あげたまご]
[01/14 さぁゃ]
最新TB
プロフィール
HN:
咲遊
性別:
女性
職業:
学生
自己紹介:

いますぐ引き返したほうがきっとあなたのため。


私の夢の世界


歪んでたり 痛かったり。



気分を害されても
責任は負えませんのであしからず。




ちなみに、
このブログ内の文章の

無断二次転載は禁止

です。(ないと思うけど)





それではどうぞ ごゆっくり。





バーコード
ブログ内検索
カウンター
カウンター




photo by MIZUTAMA
eternity labyrinth
忍者ブログ┼[PR]