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私はあなたの止まり木でありたい。  どんなに強い鳥でも、羽ばたき続ければ疲れてしまうから。
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「ただいま、水香。」


クリスマスの翌日のその日にその人は帰ってきた。


「どうしたの?元気ないけど、大丈夫?」


そう言って私の顔をのぞきこむ、
この人の微笑みはいつものように優しいけど。


「あ、ごめん。」

「考え事?」


彼の部屋のベッドに腰掛けて

窓の向こうの銀世界を眺めていた。



何の許可もなく隣に腰掛けた彼の手が、
おもむろに腰に回される。



「藤也のこと、考えてたでしょ。」

「ううん。」



慌てて首を降る私に、

ふふ、と小さく笑ったきり、彼はそれ以上何も言わなかった。




「泊まってく?今日。」

「…は?」

「あ、やっとこっち見た。」


こういうところは、藤也とそっくり。



「…いいの?」

「ん?」



私から体を離して、荷物の整理に戻った彼がこちらを見た。



「泊まっていい?」



一瞬 彼の手が止まって。

今度は慌てたように彼が笑う番だった。




「いい、よ。俺はね。」




コトリ、と隣りの部屋で音がした。




「隣りの部屋、藤也のだから、あんまり大きな声出しちゃマズいけど。」







彼と過ごす冬は二回目。



「…おかえり、柾貴。」



「やっと、呼んでくれたね。名前。」





ふわりと彼が笑う。



―ただ純粋に、嬉しそうに。




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HN:
咲遊
性別:
女性
職業:
学生
自己紹介:

いますぐ引き返したほうがきっとあなたのため。


私の夢の世界


歪んでたり 痛かったり。



気分を害されても
責任は負えませんのであしからず。




ちなみに、
このブログ内の文章の

無断二次転載は禁止

です。(ないと思うけど)





それではどうぞ ごゆっくり。





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